化石資源に頼らない社会を目指し、太陽光発電など再生可能エネルギーからの電力を使って水を電解することで、環境にやさしい水素エネルギーを製造する方法が注目されています。水電解では陰極で水素、陽極で酸素が生成しますが、実は陽極の酸素生成反応の方が難しく、理論的な電圧よりも遥かに大きな電圧が水電解に必要となるため、効率が下がるという問題があります。そのため、なるべく低い電圧で酸素を発生させる新しい電極が求められています。私たちは、表面の原子の配列が異なる立方体や八面体の金属ナノ粒子にナノシートを複合することで、ナノ粒子とナノシートの接触している界面が酸素発生に極めて効果的であることを発見しました(ナノメートル: nm=10-9 m)。また、立方体や八面体の表面の原子配列の違いが電圧を大きく変えることがわかり、1 nmの空間の原子配列をコントロールすることで高効率な水電解を可能にしました。