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理想の研究室で安心の博士進学、身につけた知識能力をメーカー発揮!

2022.04.03
高橋 里奈さん

住友化学株式会社 情報電子化学品研究所

博士修了年 2022年3月

所属研究室 有機元素化学研究室

応用化学コース卒業後の進路 大学院総合化学院 分子化学コース修士→大学院総合化学院 分子化学コース博士→住友化学株式会社 情報電子化学品研究所

応用化学コースを選んだ理由:化学工学に興味を持って選択

高校の化学の授業が楽しかったことと、目に見えない原子や分子が集まって目に見える変化を起こすことが面白くて、大学で化学を学ぶことに決めました。理学部化学科と工学部応用化学コースとで迷いましたが、化学工学にも漠然とした興味があり、工学部を選びました。

在学時のプレゼンテーション風景。「研究室の教育がしっかりしているので、わかりやすいスライドも作れるようになります」

印象に残っている授業:落ち葉を透明な高分子に閉じ込める!多彩な実験の時間

個性豊かな先生方の授業はどれも面白かったですが、やはり学生実験が一番印象に残っています。私の在学中には透明な高分子を合成して内部に落ち葉を閉じ込めたり、力をかけると色が変わる有機物で遊んだり、土を拾ってきて生分解性プラスチックを分解させたりした記憶があります。

各研究室の研究内容を盛り込みながら、安全で難しすぎず、それでいて学生が飽きないように考えてくれていたのだと思います。

コース選びのポイント:自分の興味「プラスα」を大切に

化学が気になる人なら、きっと理学部化学科や薬学部、生物学科高分子機能学専修などと迷いますよね。そのときは、興味のある分野に「プラスα」で何を学びたいかを考えてみたらいいと思います。

応用化学コースで合成高分子や化学工学の授業を通して応用まで学ぶか、化学科で基礎や理論を広く深く学ぶか、薬学部や生物学科で生体内の化学への理解を深めるのか…。

工学部は就職に有利なイメージがあるかもしれませんが、化学系なら(研究分野による就職先の違いはあれど)学部による差はほぼないため、自分の興味を優先することをおすすめします。

同じ研究分野の著名な先生との一枚

在学中の研究テーマ:固体のまま反応させる有機化合物の合成にチャレンジ!

有機化合物を合成するための新しい方法を研究していました。通常、化学反応を行うときはフラスコの中で液体(溶媒)をムラのない状態でかき混ぜることが多いですが、私たちは粉(固体)のまま反応させることに取り組みました。

この方法なら環境に負荷をかける有機溶媒の使用量を減らすことができ、溶媒を使う反応とは異なる実験結果が得られることがあります。比較的新しい分野であるため、知見が少なくて難しいこともありましたが、挑戦しがいがある研究でした。

研究内容のポスター

有機元素化学研究室の「ここがスゴイ!」:もう一度選ぶことができても同じ研究室に!

私が所属していた有機元素化学研究室は、教育熱心な先生方のもと、研究やプレゼンの様々なノウハウが惜しみなく共有されており、研究に集中できる理想的な環境が整えられています。安心して博士課程に進学できる研究室であり、もしまた学部3年生に戻れたとしても、私は同じ研究室を選ぶと思います。博士課程を出ても就職には強く、その点でも全く不安なく研究できました。

総じて、有機化学は“潰しが効く”分野で、卒業生の就職先と扱う業務内容が非常に幅広いところも特徴です。有機化学が好きな人はもちろん、「まだ迷っているから色々な可能性を残しておきたい!」という人にもおすすめです。

研究室旅行の集合写真

学生時代の学びや経験:異なる背景や価値観に触れて、他者と自分自身を知る

学部4年生までは体育会の硬式庭球部に所属してテニスに打ち込んでいました。とにかく楽しくて、授業が1コマでも休みになればテニスコートまで自転車で走っていくほどでした。その4年間はテニスが上達しただけでなく、学内外に大切な友人を得て、集団の中での人との関わり方を学び、自分の強み・弱みを知ることができました。

学生の本分は勉強ですが、大学にはたくさんの人がいて、自分と異なる背景や価値観を持った学生や教員と知り合えることも、学生生活で大切なことだと思います。皆さんもぜひいろんな人と話をしてみてください。

硬式庭球部女子部の集合写真。前列中央が本人。

MY FUTURE:大学院で得た知識・能力で女性も楽しみながら働き続けたい!

2022年春から化学メーカーで情報電子化学品の研究に従事しています。素材を作ったメーカーの名前が表に出ることは少なくとも、自分が関わった素材が身の回りの製品、例えばスマートフォンやパソコン、テレビ等の性能向上に貢献できると思うとわくわくします。これからも化学を楽しみながら働き続けたいです。

私が高校生の頃は、教育や医療の国家資格を持たずに女性が働き続けられる姿を想像できず、不安を感じていました。けれども実際に就職活動をしてみると、大学院で得た知識・能力を求められる場所は多く、たくさんの選択肢があることを伝えられたら嬉しいです。