結晶における高分子と小分子の境界を発見!
2023.07.26
一般に高分子化合物は「モノマー」と呼ばれるユニットが多くの繰り返し単位を持って連なった混合物(多分散)です。この高分子を固体にしたときの結晶構造においては、その鎖の長さに依存せず類似した構造が見られます。一方で、小分子化合物はその化合物独自の結晶構造をとるため、高分子のように共通した結晶構造は生み出しません。それでは、小分子化合物をたくさん繰り返し構造でつなげてゆくと、高分子のように共通の結晶構造は生まれるのでしょうか?我々は、アセチルアセトン類縁体の多量体を通じてその性質を明らかにしました。アセチルアセトンの繰り返し構造を2個から20個までもつ純粋な多量体を生み出してその結晶構造について調査すると、繰り返し単位5個という意外に短い領域から、らせん型の共通した結晶構造が現れることを突き止めました。高分子化合物であっても類似の構造が見られたことから、これにより高分子と小分子の境目(臨界長)を決定できました。