手のひらサイズのデバイスでmRNAワクチン・ナノ医薬品の迅速開発
2022.03.27
COVID-19に対するmRNAワクチンや核酸医薬などのナノ医薬品、遺伝子治療において脂質ナノ粒子製剤が用いられています。脂質ナノ粒子などのナノ医薬では、粒子の大きさ(粒径)が、臓器への送達効率や薬の効果に影響することが分かってきました。そのため、粒径を精密に制御する技術が求められています。また、製剤開発においては再現性良く同じ粒径の脂質ナノ粒子を製造する必要があります。私たちの研究室では、ガラスなどの基板に微小な流路構造を構築したマイクロ流体デバイスとよばれる手のひらサイズの分析・化学反応デバイスの研究に取り組んでおり、半導体微細加工技術および流体シミュレーションを駆使して、脂質ナノ粒子の粒径を精密に制御することができるマイクロ流体デバイス(iLiNP)の開発に成功しました。iLiNPは、脂質ナノ粒子の粒径を20〜150 nmまで10 nm単位で精密に制御することができます。また、siRNAやmRNA、ゲノム編集酵素であるCRISPR-Cas9を搭載した脂質ナノ粒子の作製と遺伝子治療への応用にも成功しました。iLiNPは、北大発ベンチャー企業から販売されており、世界展開を目指して研究・開発を進めています。