タンパク質の形を調べて薬を開発!
2022.03.27
創薬研究では、タンパク質の3次元的な立体構造情報が不可欠です。例えば、インフルエンザの治療薬であるタミフルやリレンザは、インフルエンザウイルス表面のノイラミニダーゼというタンパク質とノイラミン酸との複合体構造から開発されました。タンパク質の立体構造を決定するためには、X線結晶構造解析という分析法が広く用いられていますが、手作業による煩雑な準備や熟練した手技が測定には必要でした。私たちの研究室では、タンパク質と創薬候補化合物の複合体構造を簡便・ハイスループットに測定可能なマイクロ流体デバイスの開発に取り組んでいます。世界最大の放射光施設(X線結晶構造解析を行う施設)である理化学研究所のSPring-8や製薬企業と連携してデバイス開発を進めており、結晶構造解析プロセスの自動化に成功しました。また、開発した自動測定システムによって、新規なタンパク質と創薬候補化合物の複合体構造解析に成功しました。本システムは、創薬研究だけではなく、私たちの生体内のタンパク質の機能や役割の解明など、幅広い科学分野への応用が期待されます。