実験室から持ち出せる化学分析装置
2022.03.27
コンピューターが小型化し、どこでも使えるようになってきたように、実験室で使われてきた分析装置もデータが必要な場所ですぐに使えるよう小型化が試みられています。私たちは、多くの分野で活躍している分析装置の一つである液体クロマトグラフの小型・軽量化に取り組み、これまでに持ち運べるほどのサイズと質量にすることに成功しています。一般に、液体クロマトグラフは、溶媒の流れにのせた試料をカラムと呼ばれる粒子を詰めた細い管に通し、そこで試料に含まれる複数の成分を分けたのち検出器で濃度を測定します。しかし、大型かつ大重量でした。そこで、私たちは装置を構成する、溶媒を流すポンプ、カラム、検出器の小型化に取り組みました。これまでに開発したポンプは、通常のポンプのようなモーターを用いず、電気浸透流という電気化学の現象を利用し、従来よりも圧倒的に小型で低電力なものになりました。カラムは容積を約160分の1まで縮小し、扱いやすいようチップに埋め込みました。溶媒の使用量は従来の約1/1000に節約することが可能になりました。現在、小型でも高性能な検出器(微小電極など)を開発しています。