自然環境中で分解されるプラスチック
2022.03.27
大量のプラスチックごみが海洋をはじめとした自然環境中に蓄積し、生態系に悪影響を与えることが問題となっています。微生物産生ポリエステルは、海洋を含む様々な環境中で良好に分解される優れた生分解性を持つプラスチックであり、環境汚染の低減の観点からも注目されています。一方で、プラスチック材料として利用するためには、丈夫さや柔軟性など様々な物性を発揮する必要があります。微生物産生ポリエステルは、複数の酵素の働きにより細胞内で合成されます。一般に、酵素は精密な反応が可能な反面、融通が利かない(特定の分子としか反応しない)性質があります。私たちは、酵素工学の手法を使ってこの限界を乗り越え、多様なポリマーを合成可能な酵素を開発しています。こうして作り出した酵素を用いて得られる新しいタイプの微生物産生ポリエステルは、従来型のポリマーでは達成できない物性を示すことができ、より幅広い用途に利用されることが期待できます。