光を使って水素を見る
2022.03.27
鉄鋼などの金属材料は、環境中で腐食、すなわち酸化し、接している水を分解して水素を発生することがあります。水素にとって金属格子はスカスカの構造なので、金属内部に侵入し、時には金属原子と結合して水素化物となり、本来の金属に大きな歪みを与えて破壊にいたることもあります。このような金属中への水素の侵入分布状態を、金属表面にレーザー光を照射して可視化する方法を開発しました。水素が存在する金属表面にレーザー光が当たると、光を吸収して生成したホール(正孔)により水素原子が酸化され、これを電流として測定することで水素の存在を検出することができます。レーザー光で表面を走査することで水素分布の2次元マップを得ることができ、さまざまな状況で金属材料に取り込まれる水素分布を可視化して材料を健全な状態に保つ条件を知ることができます。