大学院総合化学院 分子化学コース 博士課程1年 材料化学工学研究室
応用化学コースを選んだ理由
私はフランス生まれ・育ちのいわゆる「日仏ハーフ」です。大学と大学院の各1年はアメリカやカナダで過ごしています。フランスのトゥール大学理学部で物理学・材料化学等を専攻し、学士課程を終えました。修士2年目はカナダのシャーブルック大学でダブルディグリープログラムに参加しました。その最終学期は、インターンシップが必須でした。私は、フランスやカナダの大学では電池用のバインダー(高分子系)の開発や通信用のアンテナに用いられる素材(電気工学系)など現在とは多少違った研究がテーマでした。しかし将来日本で働きたいという希望があり、日本の大学でかつ自分が特に惹きつけられた化学工学のテーマに関する研究室を探しました。幸運なことに、材料化学工学研究室の向井紳教授が受け入れてくださいました。インターンシップは数ヶ月でしたが、終了前に本学の博士課程の入試を受け、10月入学しました。
現在取り組んでいる研究テーマ
修士課程で必須のインターンシップは、当研究室で行いました。テーマは多孔質炭素と3Dプリンターに関してでした。現在は脱炭素社会に有用な物質に関する研究がテーマです。具体的には3Dプリンターを使用し、多孔子材料であるゼオライトでの空気清浄法の開発に取り組んでいます。
ナノ素材や新エネルギー等は、フランスとカナダの修士課程で総合化学に近い内容を学んでいたので、理学から総合化学への移行はスムーズに行えたと思います。
材料化学工学研究室の「ここがスゴイ!」
当研究室では多様なバックグラウンドを持つ人が集まっています。隣の「触媒反応工学研究室」とも行き来があり、活気ある研究室です。たとえ研究が滞っても、教員や先輩からの指導とサポート体制が整っています。また多々の分析を行うため、機械類が豊富に揃っています。将来研究職に就く場合、貴重な経験が積める場であるかと思います。
工学や総合化学から少し離れた理学部から加わった私の経験からすると、材料化学工学に関する興味と「新しいものを創りたい!」という意思があれば、問題なく研究室に溶け込めます。
北大での学生の学びや経験
札幌の都心に位置しつつ、緑豊かなキャンパスでは四季の美しさを楽しめます。広大な農場、植物園や博物館等の文化・学術施設や建造物と共に、クラーク博士の開学の精神から始まるアカデミックな歴史は、欧米の大学と比べても魅力的です。北大に通い始めて約1年、幅広い内容の講義で見識を深めています。また実験とミーティングを繰り返す試行錯誤の毎日でもあります。ここ北大では、想像以上に充実した学生生活を送っています。今後もより貴重な経験を得ることを確信しています。