ナノ粒子の安定性向上を生体適合性環状高分子で実現
2022.03.27
代表的な生体適合性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を環状化し金ナノ粒子と混合することで表面に強く吸着し、高温・低温・生理条件を含む多様な条件において優れた分散安定性を示す方法を開発しました。現在、ドラッグデリバリーシステム(DDS)キャリアに代表される様々なナノ粒子系医薬品の研究が進展していますが、それらの多くは生体適合性のPEGによる粒子表面の修飾(PEGylation)を基盤としています。その中で、金属ナノ粒子のPEGylationは、チオールとの化学吸着を利用したものにほぼ限定されています。これに対して、当研究室では構造欠陥のない環状PEGの物理吸着により修飾した金ナノ粒子が非常に高い分散安定性を示すことを見出しました。さらに、この方法はチオールとの化学吸着よりも分散安定性に優れており、動物実験でも効果を示しました。環状PEGの物理吸着を用いる本手法は、簡便かつ粒子の材質に関係なく広く適用でき、医療を含む多岐の分野において様々なナノ材料への応用が期待されます。