冷やすと溶けて温めると沈殿する温度応答性高分子を計算化学でデザインする
2022.03.27
温度応答性高分子は、小分子とは異なる面白い性質をもつことが知られています。日常感覚では、溶けにくい物質を溶かす際には溶液を温めるのが普通です。ところが温度応答性高分子の水溶液は、高分子が低温で溶解し、高温で不溶化する日常感覚とは逆の相転移現象が起こります。このような温度応答性高分子は機能性材料への応用が期待されており、特に体温付近で不溶化が起きる温度応答性高分子は、薬物を体内で徐放する薬物送達システムへの応用が期待されています。温度応答性高分子は古くから知られていますが、その相転移のメカニズムの解明は必ずしも十分ではなく、また従来のメカニズムでは説明できない新しいタイプの温度応答性高分子も開発されてきています。当研究室では、計算化学の手法を用いて相転移メカニズムについて研究するとともに高分子合成化学の研究者と共同で新規温度応答性高分子の開発をおこなっています。